ケーブル製造年から事故発生年までの経過年数

 高圧引き込みケーブルの事故は2年ほど前から業界の話題になっていた。経済産業省・中部近畿産業保安監督部近畿支部が2021年6月、更新推奨時期である製造後15年に満たない高圧ケーブルが絶縁破壊し、電力会社に供給支障を与える「波及事故」が増えているとして注意喚起を行った。

 近畿支部によると、高圧ケーブルの絶縁破壊に伴う波及事故のうち、15年未満の高圧ケーブルの割合は、18年度の13.3%から19年度に25.0%、20年度には43.8%と急増した。

 大半が地中埋設管路に敷設されたもので、製品評価技術基盤機構(NITE)が調査した結果、「水トリー現象」によるものだと確認された。水トリーとは、絶縁用の架橋ポリエチレンに水と電界が影響することによって、小さな亀裂が生じる現象だ。

 近畿支部は、事故が確認されたケーブルはいずれも外部半導電層がテープ巻きの「E―Tタイプ」だったとした上で、15年を待たず速やかに更新するよう要請。その際は、外部半導電層が押し出し形成の「E―Eタイプ」に更新することを推奨している。

電気新聞2023年6月7日