本社のショールームに設置された青空照明「misola(みそら)」

 ◆オフィス以外でも需要

 三菱電機照明(神奈川県鎌倉市、吉村恒則社長)が取り扱う青空照明「misola(みそら)」の販売が好調だ。照らす役割だけにとどまらず、安らぎや開放感を提供する製品として、2020年の発売以来、累計納入台数が千台を突破した。従来の業務用照明とは違い、「空間ソリューション」を提供する発想が市場に評価され、異例の販売ペースを記録している。病院の放射線治療室など、当初は想定していなかった場所でも採用例が広がってきた。

 業務用照明を手掛ける三菱電機照明は、オフィスや事務所などに使われる「Myシリーズ」、工場や体育館の高天井用照明「GTシリーズ」などを主力とする。競争力がある省エネソリューションに力を入れる一方、近年は利用者の健康増進や快適性向上に貢献する「ウェルネス」分野に対する需要の高まりを意識し、製品開発を進めている。

 こうした中、自然な青空を再現し、癒やしや快適性を提供する照明として開発されたのがmisolaだ。太陽光が大気に当たり、波長の短い青い光が強く散乱して空が青く見える「レイリー散乱」の原理を応用した。利用者は室内でも開放感や外界とのつながりを感じられる。

 フレーム部分に影をつくることで、太陽光の差し込みを演出。発光量を変化させ、昼の明るさや夕焼けといった「時の移ろい」も表現できる。価格は工事費別で、1台当たり税別68万円。21年には、壁に埋め込むタイプの製品も発売した。

 misolaの販売状況について、同社照明ソリューション企画部の高野俊仁部長は、「着実に成長している」と評価。23年度は「前年度比倍増のペースで販売を伸ばしたい」と意気込む。

 好調な販売に伴い、採用先も広がってきた。従来は会議室や事業所の休憩室などを想定していたが、病院の治療室での導入事例も生まれた。閉鎖的で、長時間の滞在が必要となる放射線治療室内で患者が少しでも快適に治療を受けられるようにしている。

 猛暑時の保育施設で屋外に出られない子どもたちのストレス軽減、高齢者施設の入居者が屋外を感じるためといった目的でも導入された。ビルのエントランスに設置し、建物全体の価値を高めるための手段としても活用されているという。

 高野部長は今後、様々な空間デザインの選択肢から選んでもらえる製品とするため、内装を手掛ける企業などにmisolaを売り込み、「新たな販路を開拓していきたい」と話す。

電気新聞2023年6月5日