JERAは28日、米国LNG供給事業者のベンチャー・グローバルの子会社と、LNG長期売買契約を27日に締結したと発表した。米ルイジアナ州のカルカシュー・パス2LNGプロジェクトから生産されるLNGについて、20年間にわたって年間約100万トンをFOB(本船渡し)で購入する。仕向地制限がないため国内外での販売が可能。柔軟なLNG調達により、国内の電力需給変動への対応力向上が期待できる。

 JERAの奥田久栄社長とベンチャー・グローバルのマイケル・サベルCEO(最高経営責任者)が契約書に署名した。契約期間は商業運転開始から20年間。売買価格は公表していないが、JERAは価格水準について「現状のLNG供給環境で十分競争力があるレベル」と表現した。

 カルカシュー・パス2LNGプロジェクトは2023年度中に着工する予定で、年産2千万トンを見込む。ベンチャー・グローバルによると、26年4~6月の生産開始を計画。生産開始後に試運転に入り、商業運転に至る。

 同プロジェクトからの調達を明らかにしているのは、米エクソンモービルや米シェブロン、中国チャイナガスなどで、日本企業ではINPEXも22年末に公表した。調達量は各社とも年間約100万トンとなっている。

 JERAのLNG年間輸入量は約2920万トン(21年度)に上る。JERAは22年、カルカシュー・パス2LNGプロジェクトに隣接するカルカシュー・パスLNGプロジェクトで初めて生産されたLNGについて、JERAグローバルマーケッツ(JERAGM)を通じスポット調達した。

 LNG長期契約について、JERAは「多くの売り主と協議している。契約するかについては事業環境を踏まえ、適切なポートフォリオを構築する観点で検討を進める」と説明。燃料調達に関しては「日本のエネルギー安定供給に向け、機動的な調達に努め、安定的な燃料確保に貢献していく」とコメントした。

電気新聞2023年5月1日