「施設や研究を若い人にオープンにすることが必要」と訴えるウィルソン氏
「施設や研究を若い人にオープンにすることが必要」と訴えるウィルソン氏

 原産年次大会などに参加するため来日中の核物理学者テイラー・ウィルソン氏が9日、記者会見を開いた。日本で叫ばれている原子力人材の枯渇について、「進歩があると思える分野でなければ人材は集まらない、イノベーションは大切」と説明。原子力業界に対しては、先入観を取り除くため、「施設や研究を若い人にオープンにすることが必要だ」と訴えた。

 23歳のウィルソン氏は14歳で核融合炉を自作。米国のネバダ大学で放射線物理の研究所を運営する傍ら、自身が創設した原子力ベンチャーのプロメテウス・インダストリーズを経営。動力炉などの開発に時間を割いている。

 ウィルソン氏は、優秀な人材の確保に向け「ワクワクするようなプロジェクトがあれば、興奮してくれる若い人たちがいる」と強調。加えて、施設をオープンにすることで「自分のキャリアとして考えるきっかけになる。施設に全く行ったことのない人は、原子力の安全性に先入観がある」と述べた。

 ウィルソン氏は日本滞在中に、東京電力福島第一原子力発電所を訪れる予定。訪問に当たっては「技術的に何かひらめくきっかけになるだろう」と語った。

電気新聞2018年4月10日