川越市の小江戸エリアに設置されているビーコクーン。基本はスカイブルーだが景観に合わせて茶色に塗装した

東電タウンプランニング、駐輪実証から1年

 
 東電タウンプランニング(TTP、東京都港区、鈴木祐輔社長)が展開する時間貸し駐輪ロッカー「B―Cocoon(ビーコクーン)」の実証実験が、もうすぐ1年を迎える。埼玉県川越市の小江戸エリア、道の駅かぞわたらせ(埼玉県加須市)に5台ずつ設置し、利用頻度などの調査を続けている。実証期間は最長3年間。CS事業本部セキュリティエンジニアリング部の村井基祐副部長は、実証の継続に加えて「今後は知名度向上についても努力したい」と事業本格化を見据える。(倉持慶一)
 

盗難が心配

 
 ビーコクーンは高価なロードバイクを利用するサイクリスト向けの新サービスだ。観光地などで駐輪ロッカーを利用できれば、買い物、食事、観光を気軽に楽しむことができる。

 ビーコクーンを始めたきっかけは、セキュリティエンジニアリング部内にサイクリストがいたこと。サイクリングに出掛けた際に適当な駐輪場所が少なく、盗難の恐れもあってトイレに行くのも大変という悩みを抱えていた。

 これをヒントに、TTPはインターネットでアンケート調査を実施。関東圏で月1回以上サイクリングをしている30~60歳の男女600人から回答を得た。その結果、8割以上のサイクリストがロードバイクへのいたずらや盗難に対する不安を抱えていることが明らかになった。

 ロードバイクは高額化しており、100万円を超すモデルも。ほんの数分間目を離した隙に盗まれることも珍しくなく、本体やパーツはネットオークションなどで転売されたりする。こうした不安を解消しようとTTPはビーコクーンを開発した。

 専用アプリをダウンロードし、無料会員登録を行えば誰でも利用が可能だ。スマートフォンでQRコードを読み込み、表示されたパスコードを入力すると開錠する。利用料は30分200円で、それ以降は追加料金が発生する。
 

ニーズ探る

 

村井 基祐副部長

 利用者からは「もっと設置してほしい」という声が上がる一方、課題もある。まず認知度が高くないことだ。会員登録者数は現在約290人。インスタグラムでのPRで一時、登録者数はぐんと伸びたものの、その後は伸び悩んでいる。今月、JR土浦駅西口に設置し、東京23区内も検討中だ。大都市圏で多くの人目にふれることで認知度が高まると期待される。

 前出のアンケートで設置場所について尋ねたところ、65%が「観光地」と回答した。だが、村井副部長は「観光地で縛らなくてもいいのではないか」と話す。例えば、観光地への道中にある道の駅、サイクリングロード、イートインスペースのあるコンビニなど。設置可能な場所、設置に適した場所については、引き続き利用者のニーズを探りながら検討を深める方針だ。

電気新聞2023年3月9日