国が昨年末に事業者の公募を始めた4つの洋上風力促進区域付近では、既に10を超える陣営が、国の制度に基づく環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを始めている。環境省のデータによると、4海域のうち、受電容量が最大の新潟県の海域付近では6陣営がアセスを申請。公募に応札するかどうかは明示できないルールになっているが、各陣営は検討や準備に入っているとみられる。公募期間は今年6月までで、年末にも落札事業者が公表される。

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 公募の対象は(1)「秋田県八峰町・能代市沖」(最大受電容量35万6千キロワット)(2)「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」(同33万6千キロワット)(3)「新潟県村上市・胎内市沖」(同70万キロワット)(4)「長崎県西海市江島沖」(同42万4千キロワット)――の4海域。

 経済産業省や国土交通省は、4海域に応札する条件として事前の環境アセスは求めていない。ただ各陣営は、事業化を前提に環境アセスを自主的に申請しているとみられる。

 新潟県村上市・胎内市沖付近を対象に環境アセスを申し込んだのは、RWEリニューアブルズジャパン・三井物産・大阪ガス連合や住友商事など6陣営。住友商事は出力70万キロワットで、最大53基の風車設置を想定する。RWEリニューアブルズジャパンなどの連合は、出力70万キロワットで風車の単機出力は1万3千~1万6千キロワットと記載。1万6千キロワット型は現行で世界最大級の出力となる。

 秋田県八峰町・能代市沖付近では、JERAなど5陣営がアセスを申請。このうち三菱商事系の三菱商事洋上風力も手続きを進めていたが、昨年11月にアセスの取り下げを表明している。

 秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖付近では東京電力リニューアブルパワー、東京ガス・丸紅連合など4陣営、長崎県西海市江島沖付近はJパワー・住友商事連合など2陣営がアセスを申請した。

 各陣営は環境アセスと並行して、応札価格などの検討に入っているとみられる。今回の公募ルールでは早期の運転開始を高く評価するため、工事の見通しなども調査している。

 2021年末に公表された3海域の事業者公募では、三菱商事陣営が総取りした。特に同陣営が秋田県由利本荘市沖の案件で提示した1キロワット時当たり11.99円の応札額には、その安さに驚きの声が相次いだ。今回の“第2ラウンド”は公募ルールが一部見直されているが、引き続き応札額に注目が集まっている。

電気新聞2023年1月10日