三菱電機は家電同士が直接通信して連携を取りながら電源を入り切りする新技術を開発した。一つの家電のスイッチを入れると他の家電も連動して動く仕組みが実現できる。家電単体ではできなかった生活支援サービスにつながる。最近はスマートスピーカーに声を掛けて家電を一括操作する動きもあるが、新技術は「家電同士で会話してくれるイメージ」(三菱電機)なのでユーザーの声掛けすら不要となる。新技術の研究をさらに進め、2020年度以降の実用化を目指す。

スマート家電の機器連携イメージ(出典:三菱電機ホームページ)
スマート家電の機器連携イメージ(出典:三菱電機ホームページ)

 新技術によって実現するサービスの一つとして、三菱電機は出勤前の準備支援を提案する。例えば、IHクッキングヒーターの電源を入れると照明や電動窓シャッター、テレビといった家電が自動で動きだすといった具合だ。

 出勤まで時間のない中で、いちいち家電をつけて回らずに済むのだ。朝の準備以外にも「扉の開け閉めが多いことで料理を始めたと冷蔵庫が判断して、換気扇の電源を自動で入れることもできる」(同社)など、アイデア次第で多彩なサービスを実現できる。

 それぞれの家電は、家電向け通信規格エコーネットライトで通信する仕組み。買い足しや廃棄などで接続する家電が変わってもユーザー側の調整は不要とした。

 どの家電を連動させるかといった初期設定は、スマートフォンのアプリなどから行って家電に伝える形式を想定している。

 このプログラム自体も容量が小さいので、家電のマイコンに組み込めて開発側の負担が少ないのも利点。三菱電機は自社だけでなく住設機器メーカーなどとも連携してサービスの充実につなげる考えだ。

 新技術とHEMS(家庭用エネルギー管理システム)を組み合わせれば、家庭の省エネ化がさらに進んで暮らしの利便性も高められそうだ。

電気新聞2018年1月30日