2017年は4月からガス小売り全面自由化がスタートし、エネルギー業界の垣根を越えた本格競争が進展した。同時に、新たな市場創設や連系線の利用ルール見直しに向けた詳細設計の議論が進んだ一年でもあった。原子力では関西電力高浜発電所3、4号機が営業運転を再開、再稼働したプラントは計5基となった。今後は九州電力玄海原子力発電所3、4号機、関電大飯発電所3、4号機の再稼働も見込まれている。一方、18年は大手電力会社で20年に迫った送配電部門の法的分離に向けた準備作業が本格化する見込み。事業環境が変わる中、デジタル化など新たな動きを取り込む動きも加速しそうだ。電力業界では本格競争と安定供給の両立を目指しつつ、変化に伴う複雑な課題に対応することが求められる。

2017122901◇米シェールガス初入港
 米国産シェールガス由来のLNG(液化天然ガス)が1月6日、初めて日本に到着した。東京電力フュエル&パワーと中部電力が折半出資する合弁会社のJERAが米シェニエール社から調達し、中部電力上越火力発電所でLNG船を受け入れた(新潟県上越市)


2017122902◇ガス小売り全面自由化
 都市ガス小売り全面自由化が4月からスタートした。家庭、業務の小口分野には大手電力会社が新たに参入。全国の家庭のスイッチング(供給者変更)申込件数は、11月末までで54万件を超えた。写真はガス全面自由化目前の3月23日、大阪市内にオープンした「関電ガスサポートショップ」


2017122903◇火力統合へ合意
 東京電力フュエル&パワー(F&P)と中部電力は6月8日、両社が折半出資する合弁会社JERAに既存火力発電事業を統合する合弁契約を結んだと発表した。これまで3段階で進めてきた燃料・火力事業統合の総仕上げに当たる。写真は同日行われた会見の様子(東京・日本橋)


2017122904◇新々総特を認定
 東京電力ホールディングス(HD)と原子力損害賠償・廃炉等支援機構が共同策定し、経営の羅針盤となる再建計画「新々・総合特別事業計画」(新々総特)が、5月に国の認定を受けた。写真は、新経営陣が承認された株主総会後に会見で握手する川村隆会長(左)と小早川智明社長(6月23日、東京・内幸町)


2017122905◇値下げ
 関西電力の高浜発電所4号機が6月、同3号機が7月に営業運転に復帰した。2基の再稼働を受け、7月6日には関電の岩根茂樹社長(左)が世耕弘成経済産業相に電気料金値下げの届出書を提出。再稼働による火力燃料費の削減分と経営効率化の深堀り分などを合わせ、平均4・29%の電気料金の値下げを8月1日から関電エリア内で実施した(東京・霞が関)


2017122906◇九州北部豪雨
 福岡県朝倉市や大分県日田市で24時間の雨量が観測史上最大を記録するなど、7月に九州北部を猛烈な雨が襲った。九州電力は本店に非常災害対策総本部を設置し、停電などの早期復旧に全力を挙げた。写真は同月7日、福岡県東峰村の避難所に支援物資を運び込む九州電力社員


2017122907◇科学的特性マップ
 政府は7月28日、高レベル放射性廃棄物の地層処分に適正のある地域を日本地図上に示した「科学的特性マップ」を公表した。原子力発電環境整備機構(NUMO)と経済産業省・資源エネルギー庁は、福島を除く全国を対象とした一般向け意見交換会を10月から開始した。写真は公表日に記者ブリーフィングで示されたマップ(東京・霞が関)

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