東北電力は5日、販売する卸電力の購入事業者(年間契約)を公平な入札で決定する方針を公表した。購入希望者が提示する買い取り価格や信用力を入札の場で対等に評価。その上で卸売り先を選定する。入札という公正な仕組みの導入で、同社内の販売カンパニーへの卸売りを他社より優先するといった差別的扱いを制度面から防ぐ。

 電力業界で、卸売り電力の入札を一般に公表した上で実施するのは初めて。

 入札は来年4月1日から1年間、東北電力発電カンパニーから卸供給を希望する東北エリア、東京エリアの事業者を対象として行う。契約条件は全日24時間での受給(ベース)もしくは平日午前8時から午後8時の受給(ミドル)。契約電力の単位は、東北エリアが100キロワットから、東京エリアが千キロワットから。エリアによる契約単位の違いは、買い取る事業者の規模を反映した。

 卸電力を巡って、電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合は大手電力会社に「内外無差別」を求めていた。卸売り先を決めるに当たり、自社の販売組織と他社を差別なく扱うことが必要とした。

 東北電力は今後、希望者の入札参加申請を27日まで受け付け、来月5日に詳細な卸売り商品の仕様を公表。10月26日から11月2日にかけて、東北、東京それぞれのエリアについて入札と結果通知を行う。

 入札参加申請を受ける段階では、希望者の財務状況など信用力を調べ、入札本番では希望者が提示する価格、信用力、東北電力とのこれまでの契約実績を評価する。これらを公正に評価した上で、卸売り先を決定する。買う側の信用力を評価する際は第三者の評価機関による判断を採用するなど、恣意的な要素は排除する。

 現在、東北電力と卸売り契約を結ぶ事業者は数十社に及ぶ。同社と年間契約を結びたい事業者は全て入札対象となる。

電気新聞2022年9月6日