一般送配電事業者各社は10日、最終保障供給料金見直しに関する約款変更を経済産業相に届け出た。9月1日から適用する。新電力の小売撤退などで供給元を失った高圧以上の需要家が、自由料金より割安になった最終保障供給に流れ込む状況が発生。こうしたひずみを是正するため、料金体系に卸電力価格の変動分を組み込む。一般送配電事業者のうち東北電力ネットワークは10日、基本料金と電力量料金単価の見直しについて検討を開始したと発表した。

 最終保障供給は、旧一般電気事業者の小売部門が提供する標準料金メニューより2割増しに設定されている。自由料金に比べて割高のため、本来ならば最終保障供給を長期間契約する需要家を想定していなかった。

 しかし、最終保障供給の契約件数は今年に入り急増。昨年12月末時点では914件(沖縄を除く一般送配電事業者9社合計)だったのに対し、今年3月末時点には5477件(同)、7月1日時点には2万7255件(同)に達した。

 経産省・資源エネルギー庁はこうした状況を問題視。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電力・ガス基本政策小委員会は7月、旧一般電気事業者の小売部門が高圧以上の需要家について、標準料金メニューでの受け付け再開時期の見通しを示すことを前提に、市場価格を組み込んだ最終保障供給に見直すとの方向性を示していた。

 新たな最終保障供給は、電力量料金に市場価格調整額を組み込む。前々月21日~前月20日のエリアプライス平均値を踏まえ、単価を加算・減算する。2019~21年度で最も安い月間平均価格を下回った場合はマイナス調整するが、自由料金との逆転現象が起きないよう、各エリアの大手電力が提供する標準料金メニューを下回らないようにする。

 適用は9月1日からで、7月21~8月20日のエリアプライスを反映するが、8月分の料金に見直しを適用すると仮定した場合、四国電力送配電の市場価格調整単価は1キロワット時当たり7.34円のプラスに、東北NWは同11.33円のプラスになると試算している。

 一般送配電事業者による最終保障供給見直しに先立ち、各エリアの大手電力は標準料金メニューによる受け付け再開の方向性を示していた。このうち東北電力は特別高圧・高圧向けの料金を11月から値上げすると発表している。これに合わせ東北NWは、最終保障供給の基本料金、電力量料金の単価見直しについて検討を開始。具体的な見直し内容や時期は最終保障供給約款の変更を届け出る際に公表するとしている。

電気新聞2022年8月12日