エネチェンジ(東京都千代田区、有田一平社長)は、小売電気事業の撤退を支援するサービスを始める。撤退する小売電気事業者が抱える顧客を、電力需要カーブの特徴に合わせてグループ分けし売却する。買い手は需要カーブを基に買収を判断しやすくなり、売り手は売却価格の向上につなげられる。消費者と撤退事業者の不利益を最小限に抑えることが狙いだ。
新サービス「電力事業撤退支援コンサルティング」は成功報酬型のため、撤退事業者に費用負担は発生しない。エネチェンジは売却額の増加分から報酬を受け取る。
人工知能(AI)を活用して消費者の電力需要状況を解析し、パターンごとに複数のグループに分けて売却する。例えば、ベース電源の多い大手電力会社には夜間需要の多い顧客を紹介し、太陽光発電を供給力に組み込む小売電気事業者には昼間のピーク需要が高い顧客を提案する。グループごとにオークションにかけることで、売却価格の最大化を狙う。
消費者の負担にならないように、買い手は撤退事業者の料金体系を引き継ぐ。消費者のスイッチング(供給者変更)手続きは不要で、消費者の同意を得て事業者間で行う。
電力小売り全面自由化によって小売電気事業者の数は約450者まで増えたが、撤退事業者も出始めている。全国で約26万件を獲得した大東エナジー(東京都港区、佐藤功次社長)は11月、電力調達や顧客管理の不備を背景に撤退することになり、顧客に他社への切り替えを促し始めた。エネチェンジは「撤退する事業者がきちんと事業譲渡できれば、消費者の電力自由化への不安を解消できる」と新サービス開始の背景を説明する。
電気新聞2017年11月27日