東光高岳子会社が急成長支える

 
 日本とルワンダの友好関係60周年を記念した式典が現地時間20日、タカオカエンジニアリング(東京都千代田区、市川昭彦社長)などが改修を手掛ける変電所で開かれた。東アフリカの内陸国であるルワンダは1990年代まで激しい内戦で知られたが、現在はIT立国を目指す政策により「アフリカの奇跡」ともいわれる急成長を遂げる。その基盤となる設備で開かれた式典には両国政府要人や市川社長らが参加し、信頼関係を確認した。

式典に参加した市川社長(右)と両国政府関係者ら(左から3人目が今井特命全権大使、同4人目がンサビマナ・インフラ相)

 タカオカエンジは東光高岳の子会社で、発展途上国での経済協力案件に特化した発送変電工事を手掛ける。ルワンダでは過去に複数案件の実績を持つ。最近では、国際復興開発銀行(世界銀行)が手掛ける首都キガリ市内8変電所を建設するプロジェクトを担った。国際機関による事業は「初の挑戦」(市川社長)だったが、コロナ禍による遅延もなく無事完遂。ルワンダは同社にとっても重要な国の一つとなっている。

 現在は日本政府の無償資金協力による「第3次変電および配電網整備計画」を進める。キガリで11万V/1万5千Vガソギ変電所を改修し、1万5千V配電線を約20キロメートル整備する。これによって変電所の設備容量は3倍、送電端電力量は6倍となり、供給信頼度が大きく向上。一層の経済成長に向けた基盤となることが期待される。

 タカオカエンジは総合貿易商社の西澤(大阪市、服部大典社長)とコンソーシアムを組み、2020年にルワンダエネルギー開発公社(EDCL)と24億1200万円で契約を締結。EPC(設計・調達・建設)業務を担う。ピーク時には約10人の社員を現地に派遣。現地やフィリピンの関係会社のスタッフらと共にプロジェクトを進める。

設備建設はヘルメット着用徹底など安全面の指導も現地作業員に行いながら進めた

 ルワンダは国土全体で険しい丘陵地帯が多い。配電線整備は自動車による資材運搬が困難な箇所もあるが、蓄積した知見を生かして設計や工法などを工夫し、安全を確保しながら工事を実施。工程は順調に進んでおり、8月の引き渡しを予定する。

 一方、日本とルワンダの友好関係はこの7月に60周年の節目を迎えた。式典はエネルギー分野での協力を記念し、その象徴といえるガソギ変電所で開催された。日本側から市川社長、在ルワンダ日本大使館の今井雅啓特命全権大使、ルワンダ政府からはアーネスト・ンサビマナ・インフラ相らが出席。両国の友情と協力関係の発展を確認した。

 市川社長は「今後も発展が見込まれるアフリカ諸国で、電力分野のプロジェクトに積極的に取り組み、市民の生活改善と経済発展に貢献したい」と話している。

電気新聞2022年7月26日