特別高圧・高圧供給サービスで新規申し込み受け付けの停止が相次ぐ中、市場連動型メニューで新規受け付けをしていることを公表する新電力が増えてきた。同メニューは日本卸電力取引所(JEPX)のエリアプライスに連動して、電力量料金単価が変動する仕組み。顧客の電気代が市場高騰時に値上がりする可能性があることから、デマンドレスポンス(DR)の実施を契約条件にしている新電力も見受けられる。(旭 泰世)
afterFIT(東京都港区、谷本貫造代表取締役)は16日、特別高圧・高圧需要家向けに実質再生可能エネルギー100%の電力を市場連動型メニューで販売していると公表した。同社は2021年末頃から市場連動型メニューでの電力供給を案内していたが、「契約先が見つからず困っている需要家が多かったため正式なメニュー化に至った」(広報担当者)という。
市場連動型メニューで契約した顧客には電力市場レポートを毎月配信。前月の市場価格実績や今後の市場動向を通知し、電気代の根拠を示すとともに、市場価格が高くなりやすい夜間に節電するよう呼び掛ける。
同じく市場連動型メニューで新規申し込みを受け付けている日本テクノ(東京都新宿区、馬本英一社長)は、DRの実施を契約条件にまで盛り込んでいる。顧客は高圧受変電設備を24時間監視する「ES SYSTEM」と、電気使用量を可視化する「SMART CLOCK(スマートクロック)」を導入する必要がある。
スマートクロックは現在の使用電力量と30分ごとの卸電力市場価格をリアルタイムで通知するシステム。市場価格が高い時間には使用電力量を減らす「下げDR」を推奨し、市場価格が安い時間帯には使用電力量を増やす「上げDR」を呼び掛ける。市場価格に合わせて使用電力量のピークをずらし、電気代を抑える。
特別高圧・高圧供給では、旧一般電気事業者を含む大半の小売電気事業者が新規申し込み受け付けを停止中。電力調達支援の日本省電(東京都港区、久保欣也社長)によると、新電力の特別高圧・高圧販売量トップ54社(昨年12月時点)のうち7社が事業撤退、9社が供給エリアや負荷率などに応じた条件付き受け付け、38社が受け付け停止(6月3日時点)となっている。
「電力難民」となった需要家は最終保障供給に流れ込み、特別高圧・高圧の全需要家約85万件のうち、最終保障供給は約1万3千件(5月20日時点)まで増えている。旧一電では中部電力ミライズが市場連動型メニューで新規申し込み受け付けを再開している。
電気新聞2022年6月17日
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