電力・ガス取引監視等委員会は31日、最終保障供給料金を卸電力市場連動にする方針を決めた。基本料金は現行水準を維持し、従量料金に織り込む。需要家が料金水準を予見できるよう、計量月の最終保障供給料金に、前々月21日~前月20日までのエリアプライスの単純平均値を反映する。事務局の試算では、4月21日~5月20日のエリアプライスを6月の従量料金(高圧・業務用)に適用した場合、九州の値上がり幅が1キロワット時当たり5円を超えた。東京、北陸、関西が同4円以上の値上がりとなる。北海道は変わらない。新制度開始時期は今後詰める。

 同日開催した制度設計専門会合(座長=武田邦宣・大阪大学大学院教授)で決めた。今回決定した方向性を踏まえ、経済産業省・資源エネルギー庁が標準メニューなど電気料金の在り方を含む小売政策を取りまとめる。

 前回会合では、インバランス料金または卸市場価格を反映することで合意していた。今回、需要家にとっての分かりやすさや、自由料金に直接的に影響していることを踏まえ、卸市場価格の反映を決めた。

 具体的には、エリアプライス平均値に託送従量料金単価を加えたものから、現行最終保障供給の従量料金単価(燃料費調整込み)を除く。これを補正項として、現行最終保障供給の従量料金単価にプラスする。市場価格が下落した際、一定の基準を満たせば、マイナス補正も行う。補正項を反映した従量料金の下限は、標準料金メニューの従量料金単価とする。

 監視委事務局が示した最新のデータでは、全国大の最終保障供給の契約実績が1万3045件(5月20日時点)となった。前回会合の4098件(4月15日時点)から大幅に増加した。今回の料金見直しで、一時的なセーフティーネットとされる制度趣旨から逸脱する長期契約のほか、適正な価格形成や自由競争の阻害を防ぐ。

電気新聞2022年6月1日