一般送配電への託送・インバランス料金で
経済産業省・資源エネルギー庁は27日、新電力撤退に伴う託送料金・インバランス料金の未払い額が、一般送配電事業者10社合計で約450億円に上ると明らかにした。大部分が貸倒損に計上されていない。ストレステストで国が新電力の債務を把握するなど、対策を検討する。また、産業用標準メニューの新規契約について、旧一般電気事業者の小売部門に受け付け再開を推奨する方針。その前提として、標準メニューの値上げなど、電力調達費用に応じた定期的なメニュー見直しを促す措置を講じる。
同日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力・ガス基本政策小委員会(委員長=山内弘隆・武蔵野大学特任教授)が議論の方向性に合意した。
未払い額は、2020年4月~22年4月(一部の一般送配電事業者は5月まで)の合計。エネ庁は、未払いが生じた新電力に需要家が知らずにスイッチングする事態を問題視している。新電力の債務不履行は最終的に託送料金に影響し、国民負担となる可能性がある。
現状、国はこうした情報を知る仕組みがない。今後、国が把握すべき情報や把握した場合の措置などが論点となる。リスク管理に関する情報は経営上、開示が難しいとの指摘もあり、今後検討を深める。
会合では、ホームページなどで公表している旧一般電気事業者の産業用標準メニューにも議論が及んだ。「適正な電力取引についての指針」では「公正かつ有効な競争を確保する上で有効」として、望ましい行為に位置付ける。ただ、現在は燃料費高騰などで需要家が標準メニュー適用を受けられない状況が続いている。
エネ庁は、リスクヘッジ費用を含む電力調達費用を適切に標準メニューに反映できるよう、指針を改訂する。当該措置を前提条件に、標準メニューの新規受け付け再開を推奨して不整合を見直す。新電力が規制料金の燃料費調整に準拠した料金調整を行っている課題についても、指針を改定する方向だ。
電気新聞2022年5月30日