伊方3号機は2016年8月15日に並列した
伊方3号機は2016年8月15日に並列した

 11年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故で、国内の原子力発電事業は環境が一変した。12年9月には原子力規制委員会が発足、13年7月には新規制基準が施行された。電力会社はこの新規制基準の下で、各プラントが新基準に適合しているのか審査を受けている。規制委に審査を申請しているのは計26基。ただ、新規制基準が施行されてから約4年が経過したものの、現在までに再稼働にこぎ着けたのは、PWR(加圧水型軽水炉)の5基のみ。原子炉設置変更許可が下りたプラントを含めても計12基にとどまっており、残る14基はまだ審査中の状態が続いている。

 
 PWR陣営で再稼働を果たしたのが、九州電力川内原子力発電所1、2号機、四国電力伊方発電所3号機、関西電力高浜発電所3、4号機の計5基。また、再稼働はしていないが既に原子炉設置変更許可が下りたプラントとしては、関西電力美浜発電所3号機、高浜1、2号機のほか、九州電力玄海原子力発電所3、4号機、関西電力大飯発電所3、4号機の7基が挙げられる。

 
 このうち、前者の3基は運転開始から40年を迎えたことから、運転延長認可の対象となる。福島第一事故後に改正された原子炉等規制法(炉規法)では、規制委から認可を受ければ、1回に限り、最長20年まで運転を継続することができる。

 

 一方、BWR(沸騰水型軽水炉)陣営では、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機、日本原子力発電の東海第二発電所の審査が進む。このうち、柏崎刈羽6、7号機は、10月4日に規制委が事実上の合格証である「審査書案」を了承した。今後は審査書の確定、原子炉設置変更許可の交付などの手続きを経て、地元理解を得た上で再稼働を目指すことになる。 

 

 柏崎刈羽6、7号に続くのが、日本原子力発電の東海第二発電所。審査のヤマ場の一つである基準地震動(Ss)は既に確定。現在はプラント関係を中心に精力的な審査が行われている。また、東北電力の女川原子力発電所2号機も、Ssが今年の8月に確定し、一つのヤマ場を越えたといえる。

 

 電気新聞では、こうした規制委の姿勢や審査状況を常に監視しつつ、その動向を、今後も日々の紙面できめ細かく報じていく。