◇相双復興官民合同チーム/被災事業者再建に一丸で

タカワ精密の渡邉取締役(右)と話し合う官民合同チームのメンバー。地元企業とは毎回踏み込んだ議論が行われる
タカワ精密の渡邉取締役(右)と話し合う官民合同チームのメンバー。地元企業とは毎回踏み込んだ議論が行われる

 被災事業者の事業再建を支援するため、国、福島県、民間事業者で構成された「福島相双復興官民合同チーム」が、徐々に存在感を高めている。2015年8月の発足から今年4月までに約4600件(4月6日時点)の事業者を訪問、設備投資や販路開拓などに関わる自立支援策を着実に進めている。

 官民合同チームの4月1日時点の人員は約250人。福島市、南相馬市、いわき市、郡山市、および東京都内の計5支部に常駐し、事業再開を目指す被災事業者への訪問活動や事業再建に向けたコンサルティングを展開している。

 16年12月には、官民合同チームの中核である福島相双復興推進機構が公益社団法人に移行。改正福島特措法の成立を受け、今年7月には同機構からの要請に基づき、経済産業省などの国職員を身分を保有したまま派遣できるようになるなど、組織としての体制強化も進んできた。

 被災事業者への訪問件数は官民合同チーム創設から約1年8カ月の間に、約4600件に達した。金融機関や経営コンサルタントなど約65人の専門家集団で行っているコンサルティング活動などの実績を加えると、被災事業者への総訪問回数は約1万4千回(4月6日時点)に及ぶ。

 具体的な成果も出てきた。福島県川俣町で事業を営んでいた納豆製造会社のケースでは、官民合同チームが福島県産大豆を使った納豆の商品開発や販売支援を実施。新商品が首都圏の顧客から好評を博し、順調に販売を継続。福島県産食材の風評被害払拭につながる一歩となった。

 今後は福島復興に向けた国のイノベーション・コースト構想の推進にあたり、重要なプレーヤーである地元企業の参画をどう促すかも、官民合同チームの重要な役割になる。

 同構想の一環として、ロボット産業の集積を目指す南相馬市で自動機製造などを営むタカワ精密の渡邉光貴取締役は官民合同チームの取り組みを「官と民の良いところがバランスよく入った組織で、きめ細かく対応してもらえる」と評価。地元企業の悩みを解決する役割を、今以上に積極的に果たしてほしいと期待を示す。

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