Looop(東京都台東区、中村創一郎社長)が、特別高圧・高圧分野の小売事業について、事業規模を大幅に縮小することがわかった。一部を残して大部分の契約を7月の検針で廃止し、現時点で再開予定はない。廃止理由について、同社は卸電力価格や資源価格の高騰によって「事業予見性が著しく毀損(きそん)している」と説明する。

 独立系新電力大手で、北陸電力や中部電力が出資するLooopでも、特高・高圧分野で事業継続が難しくなっている状況が明らかになった。資源価格高騰は、脱炭素の流れを受けた開発投資の抑制に加え、ウクライナ危機で拍車が掛かっており、同社はその影響について「事業継続が難しくなる規模での損失が予測される」と指摘する。

 同社は1月時点の新電力販売電力量ランキングで、総合21位(低圧9位、高圧32位、特高22位)。全契約のうち、特高・高圧分野の供給規模は件数ベースで1割強(9日時点)、販売電力量ベースで3割弱(1月時点)となっている。

 同社は卸電力価格や資源価格の高騰を受け、特高・高圧分野の顧客に対して、2022年6月に値上げすることを21年12月から通知していた。

 だが、値上げを重ねても事業継続が困難になるとの想定が出てきたことから、3月時点で大部分の廃止を決めた。

 廃止通知は4月22日に行っており、供給停止まで約2カ月間の猶予を設けた。供給停止の1カ月前をめどに電力会社変更の手続きをするように求め、最終保障供給の紹介もしている。

 同社は4月28日、低圧分野の電気料金を6月の検針から値上げすると発表する一方で、再生可能エネルギー事業への取り組みを強化する方針を公表していた。今後は電力小売事業よりも、再エネ発電供給事業に力を注ぐとみられる。

電気新聞2022年5月11日