新事業創出に必要なマインドを楽しみながら学べる「いのべーしょんの心得かるた」

 

CIC入居の三菱電機社員が制作

 
 ひとりじゃないよ ほんきなら そしきでしえんしよう――。新事業創出に必要なマインドを楽しみながら学べる「いのべーしょんの心得かるた」が、スタートアップ向けシェアオフィス「CIC Tokyo」(東京都港区)で好評を博している。制作したのは、CICに入居する三菱電機の社員。メンバーの一人である儘田大地さんは「多くの人に活用してもらい、新たなビジネスや共創を生み出すきっかけになれば」と制作の狙いを語る。

 冒頭の一文は、儘田さんのお気に入りの一枚だ。新事業創出を組織全体で支援していくことの大切さを説いている。新事業創出では、担当者やアイデアを出した本人が「後はよろしく」とばかりに放置されてしまうケースが多いという。

 心得かるたは「あ」から「ん」までを収録した絵札と読み札の計46組で構成。絵札の裏面には、読み札の解説も掲載した。

 内容は、新事業創出に必要な心構えを示したものから、新事業創出を妨げる組織風土にちなんだブラックジョークを含むものまで幅広い。多くの人が「あるある」と共感したり、「なるほど」とうなずきたくなったりするような作品になっている。
 

もやもやを表現

 
 CICに拠点を構え、新事業創出のためのプロセスについて研究する儘田さんたちの活動から生まれた心得かるたのアイデア。制作メンバーが感じていた「もやもや」や新事業に取り組んで壁にぶつかった社員の声などを集めて試作品を作り、改良を進めながら昨年の夏頃には現在の形にまとめ上げた。制作には全体で約半年かかった。

 心得かるたは、CIC内の多くの場面で活用されている。イベントの中で使われているほか、三菱電機として心得かるた大会も開催した。スタートアップや官公庁など様々な立場の人に遊んでもらっているといい、「欲しい」「面白い」「分かりやすい」など好意的に受け止められている。

 心得かるたで一緒に遊べば、初対面の人同士でも会話が盛り上がる。儘田さんは「人と人をつなぐツールであることも分かった」と話す。コミュニケーションを深め、共創を生み出すきっかけとしての役割も確認できているようだ。
 

機運盛り上げる

 
 三菱電機は新事業創出を全社的な課題に据える。儘田さんは、新事業創出に向けたマインドの醸成や事業本部の枠組みを超えた連携を加速させるためにも、心得かるたの活用を社内で広げていきたい考えだ。さらに「我々の知らないところでも、社外の多くの人に使われるようになってもらいたい」と願う。新事業創出の加速には、皆で機運を盛り上げていくことが欠かせないと感じているからだ。

 既にCICのレクリエーション広場に心得かるたを設置する検討も進んでいる。かるたへの高評価を追い風に、今後も設置場所は広がっていきそうだ。

電気新聞2022年3月16日