黒部川第四発電所の設備改修で更新した水車ランナー(写真は4号機向け)

 “クロヨン”設備改修で49年ぶりに出力アップ――。関西電力は黒部川第四発電所(ダム水路式)の最大出力を変更したと21日までに発表した。2020年8月に始めた同発電所3、4号機の設備改修工事がこのほど完了。それぞれの水車ランナーなどの更新で最大出力が千キロワットずつ増え、総出力は33万5千キロワットから33万7千キロワットになった。同発電所ではこれまで各設備のオーバーホールなどを定期的に実施してきたが、今回の大幅な設備改修で1973年6月以来、約49年ぶりに最大出力が増えた。

 発電能力の向上で、年間発電電力量も従来比約1800万キロワット時増の約9億3800万キロワット時となる見通し。年間の二酸化炭素(CO2)排出削減効果は7776トン程度を見込む。最大出力の変更は18日付で経済産業省に届け出た。

 今回の設備改修では3、4号機の水車ランナーなどを更新。3号機は発電機のオーバーホールも実施した。同発電所は黒部川水系を活用。最大使用水量は毎秒72立方メートルで、有効落差は545.5メートル。

 関電はカーボンニュートラルの実現へ、水力発電についても新規開発や既存設備の更新などで、2030年度までに出力ベースで現行比5万9千キロワット程度の拡大を目指している。今回の黒部川第四発電所の出力増加分は30年度目標の数値には含まれていない。

電気新聞2022年2月22日