北海道電力は年度内をめどに東京商品取引所(東商取)の電力先物市場と欧州エネルギー取引所(EEX)グループの電力先物相対取引に直接参加する。大手電力会社の子会社ではなく、本体が参加して取引を開始するのは初めてになる見込み。東商取やEEXでの直接取引と、2020年秋から手掛けている商社や金融機関などとの電力先物相対取引(OTC)を併用していく考えだ。取引手段を多様化することで、収益固定化と拡大の機会を増やす。
東商取の電力先物市場には昨年末時点で新電力など134社が参加しているが、一層の取引活発化へ、規模の大きな売り手となり得る大手電力会社の直接参加が望まれていた。現物市場の市況によって電力先物の売り買いのポジションは変わるものの、北海道電力は直接参加によって流動性向上への期待に応えたい考え。中途採用の専門人材を中心とした電力トレーディング部隊を抱える同社需給運用部は「電力先物市場の量的な発展に貢献したい」としている。
先々の電力価格を固定する電力先物取引は20年度冬や今冬のスポット価格の高騰を受け、現物市場の価格変動リスクをヘッジする手段としてニーズが拡大している。東商取が19年9月に試験上場した電力先物市場や、EEXグループが20年5月に日本で始めた電力先物相対取引のクリアリング(清算)サービスの参加社も急増した。
昨今は燃料先物と電力先物取引を併用し燃料調達価格と電力販売価格の値差収益を固定する必要性も唱えられている。東商取は4月4日に電力先物市場を本上場して取引限月を伸ばすとともに、LNG先物市場を試験上場するなど、取引環境の整備も進む。
電気新聞2022年2月3日
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