中国電力で最大の出力を誇る柳井発電所

◆140万キロワット→153万9千キロワットに

 
 中国電力は、再生可能エネルギーの増加に伴う出力変動へ柔軟に対応していくため、同社最大のLNG火力である柳井発電所の届出出力の引き上げを進めている。従来は認可出力140万キロワットで運用してきたが、昨年12月25日から153万9千キロワットまで出力できるよう運用を変更した。同発電所は出力調整速度が速いコンバインドサイクル発電方式を採用しており、届出出力の変更で需給変動への対応力を高め、安定供給に万全を期す。

 柳井発電所は1992年に運転を開始した1号系列(1~6軸)、96年運開の2号系列(1~4軸)の計10軸で構成されるLNGコンバインドサイクル発電設備となる。

 当初は汽力発電方式、認可出力140万キロワットで計画が進められたが、建設までにコンバインドサイクル化、新型ガスタービン採用などの仕様変更・計画変更を2回にわたって実施。届出出力は140万キロワットに据え置く一方、環境影響評価(アセスメント)は設備の最大能力を考慮し、154万2千キロワットで実施していた。

 従来は年間で全軸がフル稼働する期間は短かったが、近年は夏季・冬季の重負荷期などに10軸を稼働させる機会が増え、届出出力を超過しないよう出力を制御し運転していた。

 今回、最大4基のLNG気化器で安定的に運転可能な153万9千キロワットまで届出出力を引き上げるため運用変更を実施した。約10%に相当する出力が上乗せされ、再エネ増加に伴う出力変動を吸収する能力は高まった。一方、出力変更はアセスの範囲内に収まるため、環境面での影響はないとしている。

 このほか、同社では厳しい寒さが予想される今冬の重負荷期対策として、最も需給がタイトな時期に柳井10軸全てが稼働できるよう補修計画を調整するなどして、安定供給に万全を期している。今回の届出出力の変更は、需給逼迫時の供給力の上積みといった面でも効果が期待される。

電気新聞2022年1月6日