東芝エネルギーシステムズが、洋上用風力発電機器の国産化に向けて、国内における部品調達網の整備に取り組んでいる。同社は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と協業し、国内で風車用の機器を生産する。既に洋上風力発電所の立地が予定される秋田県で、地元部品メーカーとの意見交換会を開催。調達できる部品やその量について協議している。安価で高品質な部品をそろえ、風車の競争力を高める。

 東芝エネルギーシステムズとGEは2021年5月、洋上風力分野での戦略的提携契約を結んだ。GEから技術供与を受け、最新鋭の洋上風車「ハリアデX」用の基幹部「ナセル」やタワー部などを生産する予定だ。

 GE製風車は、日本政府が指定する洋上風力促進区域3海域で採用されることが決まった。秋田県由利本荘市沖などの海域で、三菱商事グループが落札。3海域合わせてGE製風車を計134基設置する計画。東芝エネルギーシステムズも促進区域向け風車の生産で協力する見通しだ。

 同社は国産化に向けて、部品や工具類を調達するサプライチェーンを構築する。昨年には洋上風力プロジェクトが計画される秋田県で、現地メーカーとの意見交換会を開催。部品製造を手掛けたい同県内の数十社に対して、必要となる部品や技術要件について説明した。

 機器の国内生産は日本政府が求めている。欧米の風車メーカーが世界シェアを分け合っているためだ。経済産業省などが入る官民協議会がまとめた「洋上風力産業ビジョン」には40年までに機器、部品の国内調達比率を60%まで高める目標を掲げた。東芝エネルギーシステムズはこれに対応し、国産化する機器を増やす方針。

 同社の小西崇夫社長は電気新聞のインタビューに「風車用部品のサプライチェーンがないため、一から調達先を見つける必要がある。耐久性なども考慮しながら最適な部品を集めたい」と話した。

電気新聞2022年1月11日