菅義偉首相は3日、17日告示・29日投開票の自民党総裁選に出馬しない意向を表明した。内閣支持率が低迷する中、再選は困難と判断したとみられる。菅首相は同日の党役員会で「新型コロナウイルス対応に専念したい」と不出馬の理由を説明した。新総裁選出後、首相は退陣する見通し。エネルギー・環境政策を巡っては、エネルギー基本計画やパリ協定のための長期戦略などの閣議決定が新内閣発足後になる見込みとなり、影響を危惧する声も出ている。

 菅首相は安倍晋三前首相の退任を受けて昨年9月、首相に就任。10月の国会では所信表明演説で、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指すと宣言し、カーボンニュートラル政策へ大きく舵を切った。さらに、今年4月には30年度の温室効果ガス排出削減目標を13年度比で46%にする目標を表明。46%減にとどまらず「50%の高みに向けて挑戦を続けていく」と意欲を示すなど、脱炭素・グリーン成長を政権の看板政策の一つに掲げた。

 菅首相の総裁選不出馬表明を受け、梶山弘志経済産業相は3日の閣議後会見で、50年カーボンニュートラルなど菅政権が推進してきたエネルギー・環境政策について「政権が代わろうとも、対応していく必要がある」と述べた。梶山経産相は3日の閣議後会見直前に、菅首相の総裁選不出馬の報道に触れた。報道を踏まえ「大変残念だ。お一人で考えた上での決断だと思う」と強調。その上で「空白がないよう、しっかり行政をつないでいく。内閣が代われば後任が出てくる。残任期間しっかり仕事をしていきたい」と述べた。

電気新聞2021年9月6日