経済産業省・資源エネルギー庁は、2030年度の温室効果ガス削減目標を踏まえ、一般消費者への省エネ訴求を強化する。小売電気事業者などの省エネ情報提供を評価する新制度を設け、取り組みの改善を促す。加えて、小売事業者を対象とする省エネ情報提供に関するガイドラインなどを改正。「電気を使えば使うほど安くなる」など、需要家の電力消費量増加を招く料金プラン説明などを是正する。

 13年度比46%減の新目標に向け、省エネ対策の深掘りに向けた検討が続いている。目標と整合させるため、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の省エネルギー小委員会では、30年の最終エネルギー需要に対する省エネ量として、従来目標の5036万キロリットル(原油換算)に、約1200万キロリットル積み増す方向が固まった。

 エネ庁は今回の対策で家庭の省エネ進展を見込んでいる。約1200万キロリットルのうち、新規で56万キロリットルの効果になると試算。野心的な目標に一歩でも近づくためにも、こうした地道な積み重ねが欠かせない。

 電気やガスといったエネルギー小売事業者の省エネ情報提供について、その内容や方法の観点で評価し、事業者のランキングを示す方向で検討が進んでいる。結果はエネ庁のホームページで公開されるほか、各種比較サイトでも活用される見込みで、一目で各社の取り組みが理解できるようにする。小売事業者が、価格だけでなく「省エネ情報提供・サービスでも競い、それが省エネにつながる」(エネ庁省エネルギー課)としている。

 電力小売り全面自由化で、これまでの三段階料金から、使用量に反比例する料金プランや一定の料金単価を採用する小売事業者も現れた。これらは各社の創意工夫の賜物だが、料金プランの紹介文に需要家の電力消費増につながる表現を挿入しないよう、ガイドライン改正を検討する。また、省エネ訴求に当たっては、九州での再生可能エネルギー出力制御などを考慮し、需要シフトに関する情報提供なども重視される方向だ。

電気新聞2021年6月2日