経済産業省は、日本貿易振興機構(JETRO)と協力し、洋上風力で日本と欧州の企業の協業支援に乗り出す。JETROが欧州に拠点を設置し、現地企業を発掘。会員プログラムに加入した日本企業と引き合わせる。洋上風力で先行する欧州企業の知見を取り込み、日本でサプライチェーンを構築する。米国でも同様のプログラムを展開し、水素企業の発掘を検討中だ。欧米との協業を加速し、カーボンニュートラルの実現を目指す。

 経産省は2月、日本企業と海外企業のオープンイノベーションを通じた協業を促すプログラム「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J―ブリッジ)」を立ち上げた。10カ国程度に専任者を設置。日本の会員企業にスタートアップなどの情報提供を行い、個別面談や案件形成も支援する。

 JETROがこのほど、ロンドンなどに拠点を設立したことを記念し、17日にオンラインセミナーを開催した。日本と海外を含め約700人が参加。あいさつした梶山弘志経産相は補助金や設備投資の税制優遇などを紹介しつつ「日本の製造業は確かな技術と信頼性がある。欧州企業の日本進出をお手伝いしたい」と呼び掛けた。

 梶山経産相は、日本だけでなく、アジアで洋上風力市場の拡大が予測されていることも強調。風車工場はアジア地域に1カ所で十分というメーカーもおり製造業の誘致は各国で競争となっている。

 JETROは米国のニューヨークとサンフランシスコにも拠点を設置。水素関連企業の発掘を検討している。早ければ夏にもマッチングイベントを開催する予定だ。

 J―ブリッジではモビリティーやスマートシティー、ヘルスケアなど6分野を重点項目に設定。欧米をカーボンニュートラル分野の拠点とした。

電気新聞2021年5月20日