電力広域的運営推進機関(広域機関)は3月31日、電気事業者1642者から提出を受けた2021~30年度供給計画を取りまとめた。年間の供給信頼度評価では今後5カ年・全エリアで基準を満たす一方、月別の予備率は連系線を活用しても21年度夏は東京エリア、冬は西日本エリアを中心に初めて予備率8%を下回る水準となった。電源休廃止などによる供給力不足が顕在化した形で、広域機関は今後も補修停止時期の調整などを続ける。

 東京エリアでは予備率が21年7月に7.5%、22年1月に7.7%、2月に5.8%と夏冬とも厳しい需給を見込む。22年2月は西日本6エリアも5.8%となり、沖縄を除く9エリアで6.6%の見通し。22年度も東京エリアは7月と11月、1~3月に8%を下回り、7月は九州を除く西日本5エリアで7.1%を見込む。

 広域機関は特に予備率が厳しい22年2月に1300万キロワット程度の補修停止計画が計上されていると指摘。停止時期について調整を続けており、今回の結果を公表することで各事業者に追加的な対応を促したい考え。それでも需給に改善がみられなければ、4月をめどに開く有識者会合で電源入札などの要否を検討していく。

 一方、今回から導入した年間の停電予測量(EUE)に基づく評価は21、22年度とも全エリアで基準値の1キロワット当たり0.048キロワット時以内となった。ただ、26年度以降は九州エリアで一部大型電源の供給力が見通せなくなるため、基準値を超える(供給信頼度が低い)水準となる。

 広域機関は取りまとめ結果を経済産業相に提出するのにあわせ、3点の意見を出した。冬季に供給力(キロワット)不足の懸念が生じたことを踏まえ、発電事業者は補修停止を慎重に計画すべきだったと指摘。追加的な供給力確保へ万全を期す考えを示した。

 21年度の電力量(キロワット)の需給バランスも前年度の計画に比べ悪化したと指摘。燃料調達を含む需給検証や継続的なモニタリングを行い情報発信していく。

 また、30年度の送電端電力量は石炭火力が約36%、原子力が約4%となり、政府が掲げるエネルギーミックスの水準から乖離していると指摘。達成に向けた取り組みの必要性を提起した。

電気新聞2021年4月1日