シュークルキューブジャポンが導入したツミキスマートキットを手にするセネガルの診療所の人々(2019年12月)

 関西電力は22日、海外でインフラ開発を行うベンチャー企業のシュークルキューブジャポン(東京都千代田区、佐藤弘一社長)と、アフリカの未電化・未電波地域向けの電力・通信サービスに関する実証実験を開始すると発表した。セネガルのサンジャラ市内の施設に、発電設備と通信機器のセットを設置。保守体制の確認を行うほか、電気・通信インフラが整うことで解決できる課題や提供できる価値について、事業化を視野に入れつつ調査する。実証は3月1~31日まで実施する。

 資金は双方で負担する。関電は電気事業で蓄えた知見を生かし、電気設備の構築を技術面でサポートする。

 セネガルは約50%が未電化地域となっており、特に診療所では夜間の診察や出産などにリスクが生じている。

 シュークルキューブジャポンは、2019年にセネガルの保健省と覚書(MOU)を締結。独自開発した「TUMIQUI Smart Kit(ツミキスマートキット)」をセネガルの診療所などに導入している。同製品はモバイルルーター内蔵の蓄電池、充電式LEDランプ、折りたたみ式太陽光パネル(150ワット)がセットになっており、設置工事なしで使用できる。

 今回はツミキスマートキットを市庁舎、学校、診療所に1個ずつ無料で導入する。市庁舎には太陽光パネル(400ワット)も設置する。また、これらの施設に通信アンテナを設置することで電波受信エリアを拡張。関電は実験を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)達成など社会課題の解決に向けた事業の構築を目指す。

電気新聞2021年2月24日