細川 成己氏

 我々の基本的なスタンスは、できる限り今までの産業構造を維持すること。どこかで何かをすると、必ずひずみが起きる。石油・原油は全ての産業の根幹だ。燃料や原料の安定供給に向けて、国家備蓄の放出と同時に、原油の代替調達として、ペルシャ湾以外のルートや中東以外の国からの調達拡大を進めている。

 燃料分野では流通構造の違いによって、全体の量が足りていても目詰まりが起きる部分もある。ガソリンは比較的流れやすい一方、軽油や重油は複雑な卸を経由する。

 元売り各社には、かなり踏み込んではいるが、系列・系列外を問わず供給するよう要請するとともに、昨年同時期と同量の出荷を求めている。医療機関や公共インフラなど重要施設向けには、元売りから直接配送する仕組みを検討している。

 原油の精製過程で生産される石油製品のナフサは、プラスチック在庫の活用や、海外からのプラスチック製品調達、場合によってはリサイクル品の活用など複数手段を組み合わせて対応している。

 代替調達の進展を前提にすれば、従来想定していた約4カ月から、半年以上の持続も視野に入ってきた。燃料側の産業への影響を与えず、経済の現状を維持しながら、もう少し巡航速度でいけると考えている。

 我が国は他国と比べて相当な規模の原油備蓄があるとはいえ、無限ではない。究極的には外交的な解決しかないが、備蓄を有効活用する上では、代替調達でどこまでペースを落とせるかが重要だと考えている。

 具体的な数字はなかなか申し上げられないが、代替調達は着実に進みつつある。長期的な視点は常に持っており、これまで通りの経済活動をやって頂きたい。(談)

◆メモ
 ほそかわ・なるみ=1996年東大法卒、通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課長、大臣官房産業保安・安全グループ保安政策課長を経て、25年7月から現職。

電気新聞2026年4月8日