
ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、原油、LNGともに世界供給量の2割相当分で供給支障が発生している。原油は裾野が非常に広く、サプライチェーンの様々な所で根詰まりすることが懸念される。LNGは調達先の多角化が進んでおり、日本に与える需給面への影響はそれほど大きくない。一方、価格面ではスポット価格の高騰と、原油価格に連動する長期契約の価格上昇により、電気料金への影響が懸念される。
石炭の価格についても原油、LNGほどではないものの上昇している。(発電用の一般炭を生産する)豪州では石油製品の供給制限が始まろうとしており、トレーダーの間では炭鉱で使用する軽油の確保が不透明だと明確に言われている。これが長期化すると、大きなリスクになる。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻時と違うのは、原油やLNGの物自体が明確に供給停止しているところ。当時、欧州では冬場に向けた地下ガス貯蔵の積み上げに向けて夏頃にガス価格が高騰し、それに次いで電力価格も上がった。今回も長期化すれば、スポット価格がさらに急騰するリスクはある。欧州勢は4~5月にかけて、LNGのスポット調達を拡大すると言われている。
カタールでLNGの生産が停止してしまい、これまで需要を取り合っていた米国にとっては「棚ぼた的」な状況になる。地政学リスクが高まるカタールのLNGは今後、代替調達分のコストまで考えると、果たして経済合理性があるのかという話になる。これに対し米国では、無期限延期されたLNGプロジェクトがもう一度復活する可能性も考えられる。
中東情勢の地政学リスクが顕在化した状況下、日本国内ではエネルギー自給率の向上は非常に重要なテーマとなる。原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの維持・拡大が必要だ。電源多様性の観点では、石炭火力の重要性が再確認されている。(談)
◆メモ
まつお・ごう=学生起業への参画などを経て、2012年イーレックス入社。アビームコンサルティング、DeNAを経て21年3月から現職。電力会社支援などを行う。
電気新聞2026年3月31日





