◆保守の重要性/年間通じ異常を予防、漏油対策も不可欠に

 変圧器の高経年化が進んでいる。逆潮流などの負荷、瞬時電圧低下などのトラブルを健全な形で防止するには、適切な測定が重要だ。

 1950年代から70年代にかけて、先進国では変圧器建設の投資がピークに達した。その後、80年代から大幅に投資が減少。国内でも稼働中の変圧器約1万6千台のうち、40%以上が設置から30年以上が経過した高経年器だ。

 モニタリングやメンテナンスの需要が高まっているが、変圧器のモニタリングは、異常があると分かった時点で是正措置を講じている。今後のメンテナンスでは、年間を通じて絶縁油中をモニタリングし、異常を予防することが必要になる。特に絶縁油を使用する変圧器は、長期間の運転中に温度や水素、水分などの変化によって劣化が進行するため、リアルタイムで正確性の高い計測が重要になる。

 東日本大震災を受け、変圧器の防災性強化の必要性も高まった。大都市の大規模変電所では地下化が進んでいるが、人口密集地域にあるだけに安全性の確保が大前提となる。防爆性確保やコンパクト化も必要で、近年は両方の要素を兼ね備える大容量ガス絶縁変圧器の採用が進んでいる。

 絶縁媒体の多様化によって環境性は高まるものの、漏油対策はやはり必須。過負荷や負荷変動など従来にない使用条件では、潜在していたリスクが高まる恐れもある。このため実際の温度の測定技術や解析技術の高度化は不可欠で、的確な計測が常に求められている。

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