[ウクライナショック]識者の見方/山本 隆三氏
EU(欧州連合)諸国はロシアの侵攻後も原油と天然ガスをロシアから購入し、毎日千億円以上を支払っている。ウクライナ支援額とは桁違いの額がロシアに渡っている。ロシアからの供給を止められないのは、EUが進めた脱石炭とドイツの脱原子力政策が、EUの天然ガス需要量とロシア依存度を上昇させたためだ。
脱ロシア産天然ガス実現には石炭火力の利用増が手っ取り早いが、EUは石炭輸入量の半分以上をロシアに依存している笑えない現実がある。結局、米国などからの石炭やLNG輸入を増やすことによりロシア依存度を下げることになる。
LNG輸入量の増加は導管経由の天然ガスと比較しエネルギー価格を上昇させる。昨年平均51%上昇したEUのガス小売価格と30%上昇した電気料金を高止まりさせ、生活に大きな影響を与える。石炭使用量の増加は二酸化炭素(CO2)排出増に結び付く。
EU(欧州連合)諸国はロシアの侵攻後も原油と天然ガスをロシアから購入し、毎日千億円以上を支払っている。ウクライナ支援額とは桁違いの額がロシアに渡っている。ロシアからの供給を止められないのは、EUが進めた脱石炭とドイツの脱原子力政策が、EUの天然ガス需要量とロシア依存度を上昇させたためだ。
脱ロシア産天然ガス実現には石炭火力の利用増が手っ取り早いが、EUは石炭輸入量の半分以上をロシアに依存している笑えない現実がある。結局、米国などからの石炭やLNG輸入を増やすことによりロシア依存度を下げることになる。
LNG輸入量の増加は導管経由の天然ガスと比較しエネルギー価格を上昇させる。昨年平均51%上昇したEUのガス小売価格と30%上昇した電気料金を高止まりさせ、生活に大きな影響を与える。石炭使用量の増加は二酸化炭素(CO2)排出増に結び付く。
欧州のCO2排出枠価格は年明け1トン当たり100ユーロ寸前に達したが、その後下落し今は70ユーロ程度。と言っても1万円近い。石炭火力を利用すれば1キロワット時当たり8~9円の排出枠価格だ。これも電気料金を押し上げる。
欧州委員会はグリーンディールを実行すると強気で、ドイツの副首相(緑の党)は今年末の最後の原子力停止の中止に否定的だが、優先されるべき政策はグリーンディールや脱原子力より国民生活だ。
(談)
電気新聞2022年3月10日