[ウクライナショック]識者の見方/田中 均氏
中露接近に目配り必要
田中 均氏
日本総合研究所国際戦略研究所理事長
ロシアへの経済制裁により、エネルギー面では天然ガスを中心に流通が滞り、エネルギー価格の上昇につながることが予想される。中長期的には、世界的にエネルギー需給が逼迫していくことも予想され、日本にも影響を及ぼす。ロシアが何らかの報復措置を取る可能性もある。
NATO(北大西洋条約機構)とロシアの対立は激化していくだろうし、日米同盟がある以上、日本も対峙(たいじ)していかざるを得ない。一時のような、平和条約締結に向けた環境を醸成するための経済協力などは考えられなくなる。
軍事技術だけではなく、汎用技術も含めて機微な技術の移転を規制する流れも出てくるだろう。
ロシアが中国と結託した場合、西側諸国とのブロック対立になり「第二の冷戦」が始まる可能性もある。これは、西側諸国にとっても好ましいことではない。
中国は経済成長を維持し、米国と国力で並ぶことが最優先課題になっている。西側との関係を断ち切られることは、経済に甚大な支障を及ぼすために望むはずはない。
ただ、中国を追い詰め過ぎると、ロシアと結託する可能性がゼロではないため、そういうことを招来してはならない。
(談)
電気新聞2022年3月3日