[ウクライナショック]識者の見方/岩間 陽子氏

エネ調達の分散化、教訓に


岩間 陽子氏

 

岩間 陽子氏
政策研究大学院大学教授


 

 ウクライナ侵攻によって民間人に犠牲が出ており、ロシアには全く正当性はない。和平や停戦を結べても、国際社会での名誉ある地位をロシアが回復するには、プーチン政権が続く限り難しいだろう。

 ロシアには日本が米国に追従しているという見方がある。日本の判断で各国と協調しているという姿勢を明確に示すべきだ。LNGビジネスは今後難しくなるだろうが、ロシアと取引のある企業に損害が出たら政府が補償し、厳しい制裁をためらうべきではない。

 安全保障の観点からエネルギー調達先の分散化があらためて重要な教訓となった。再生可能エネルギーを中期的に普及させ、化石燃料に頼らない経済の構築も重要だ。安全保障には十分なコストをかける必要がある。安価な化石燃料があれば買うという時代は終わった。

 ロシア産ガスの依存度が高いドイツでは、原子力発電の廃止時期を見直す議論が起こっている。日本もエネルギー戦略をしっかりと立て直す契機だ。気候変動対策の観点から原子力をすぐゼロにはできない。

 社会に受け入れてもらうには、小型炉などの技術革新を進める必要がある。地政学リスクと気候変動を軸にしたエネルギー政策に変えていくべきだ。

(談)


電気新聞2022年3月4日