[ウクライナショック]識者の見方/石川 昭政氏

電気料金の高騰、支援策必要に


石川 昭政氏

 

石川 昭政氏
自民党経済産業部会長・衆議院議員


 

 脱炭素宣言前に戻ることはないが、エネルギートランジションなどが無理のない計画となっているか、見直すべきタイミングだ。政府が策定するクリーンエネルギー戦略がどうあるべきか、自民党内でも議論している。石炭火力トランジションの時間軸などは見直し対象になり得る。

 資源価格は今がまさに時代の転換点。これまでが安すぎた。上流投資が減る中で、これからも価格は上昇し、後戻りできない。その中で、電気料金の上昇が国民生活に悪影響を与えている。需要家への支援策について、ガソリンのように政府が手法を研究しているが難しいようだ。財源や制度上の課題が存在するためだ。低所得者層への現金、クーポン配布などの案が存在する。個人的に支援の必要性はあると思うが、政府に打つ手がない。

 複数の大手電力が燃料費調整制度の上限に達した。大手電力にしわ寄せが来ている。燃料費上昇を転嫁できないならば、何らかの支援が必要。天然ガスなどロシア産化石燃料から、仮に撤退する時も同じだ。そういった場合の損失は、国がある程度負担すべきだ。

 ウクライナ危機で、審査に合格した原子力発電所の再稼働は、国民的コンセンサスができつつある。特定重大事故等対処施設(特重施設)が未完成のため稼働できないプラントに対する硬直的な対応を改めるべきだ。この問題について規制当局は、事業者から要請があれば議論する姿勢を示している。安定供給確保の面や電気料金が高止まりする中で、資源エネルギー庁、大手電力が、規制委に要請せざるを得ないタイミングが来ると思う。

 また、運転年数などの問題解決には、原子炉等規制法の改正が必要。内閣から提出されないのであれば、議員立法という手もある。ただ、議員立法は基本的に全会派賛成の上で行うもので、現状は難しい。原子力を持続的に活用するため、クリーンエネ戦略に関する自民党の提言に、革新炉に対する研究開発支援の必要性などが盛り込まれるだろう。
(聞き手・近藤 圭一)

 <いしかわ・あきまさ>1998年国学院大院文学研究科修了、自民党職員を経て、12年比例北関東ブロックで初当選。17年に小選挙区で初当選。茨城5区(日立市、高萩市、北茨城市、東海村)。当選4回。元経産政務官。

(談)


電気新聞2022年4月15日