【特集】インテルが描く電気事業の未来(上)

◆データが拓く新ビジネス(2)◆


◆電力業界への提案/進化するスマート技術 上流から下流まで網羅

20170530_intel002

 インテルはパソコンを軸とする企業から、IoT(モノのインターネット)やクラウドに技術を提供する企業へと進化を遂げた。

 端末のデータをデータセンターやクラウドに送り、処理・分析して端末に戻すというサイクルを高速で回し、ユーザーに様々な体験を提供するのが目的だ。

 そこで、膨大なデータ処理を最適化するハードウェア(FPGAやメモリーなど)、高速化を追求した第5世代移動通信システム(5G)などの開発に力を注いでいく。

 さらに、こうしたIoTの基盤となる技術をビジネス価値に結び付けてもらうため、産業別の提案活動を強化している。電力やガス、石油などのエネルギー業界もその一つ。

 (1)エネルギー利用(2)ネットワーク運用(3)現場作業(4)データ分析――という4つの観点からソリューションを提供する。

 電力業界への提案は6つ。上流から下流まで網羅し、「デジタル・ユーティリティー」に転換するための道筋を示す。

 【サプライチェーンの最適化】
 需要予測を基に発電所の燃料消費量を割り出し、輸送にかかる日数も加味して燃料調達のタイミングや量を最適化する。燃料の調達から消費までのプロセスを一括管理することでコスト削減を図れる。

 【スマートグリッド】
 高度な通信システムとセキュリティシステムをベースに、系統やそこに接続された機器からデータを収集・分析し、ピークシフトや再生可能エネの効率的な導入を支援する。
 オープンプラットフォームを採用し、柔軟性や拡張性に優れたシステムを安価に構築することができる。

 【需要予測と最適化】
 スマートメーター(次世代電力量計)から集めたデータだけでなく、天気予報や社会動向などのデータも統合し、需要予測の精度を高める。
 需要を正確に予測できれば電力設備の利用効率を高めることができる。

 【設備保全・故障予知】
 温度や湿度、振動などのセンサーを電力設備に設置し、データを統合・分析することで異常の兆候をいち早く見つけ、メンテナンスコストを大幅に削減する。
 「機械学習」や「深層学習」といった技術を使えば機器自体が学習し、シグナルを発信することもできる。

 【スマートホーム】
 インターネットに接続された宅内の端末を一元管理するオープンプラットフォームを構築する。集めたデータをエネルギー管理だけでなく、ホームオートメーションやホームセキュリティーなど多様なサービスに活用し、ユーザーの利便性を高める。

 【現場作業のイノベーション】
 ドローンやウェアラブル端末を活用し、より安全で効率的に作業できる環境を提供する。
 一例はスマートグラス。現場までの道順やメンテナンスの履歴・手順など、必要な情報がゴーグル内に表示される。訓練期間の短縮やベテランの技術・技能の継承にも役立つ。

 

<<【特集】インテルが描く電気事業の未来/データが拓く新ビジネス(1)へ

インテルが描く電気事業の未来/データが拓く新ビジネス(3)へ>>

 

bnr_20170626_intel