【特集】インテルが描く電気事業の未来(上)

◆データが拓く新ビジネス(1)◆


 急速な技術革新が起こしたデジタル化のうねり。膨大なデータを有効活用できる環境が整い、様々な課題の解決や新しいビジネスチャンスの創出が可能になった。特に東日本大震災以降、大きな変革期にある電力業界でも、時代に乗り遅れまいとする機運が高まってきた。インテルは業界の枠や既成概念にとらわれない「デジタル・ユーティリティー」への転換に一役買い、電力会社と他業界、電力技術とIT技術の橋渡しをする。張磊執行役員・インダストリー事業本部長のインタビューを交え、最近の取り組みを紹介する。

 ※張磊執行役員・インダストリー事業本部長のインタビューは「【特集】インテルが描く電気事業の未来(下)」で掲載します。

 

◆デジタル化の背景/急速な技術革新で実現 膨大な情報を高速処理

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 デジタル化が進んだ背景には、急速な技術革新がある。過去10年間でセンサーのコストは2分の1以下に低減。ブロードバンドの普及によって通信コストは40分の1、コンビューターに組み込むCPU(中央演算処理装置)の飛躍的な性能向上で情報処理コストは60分の1に下がった。

 これにより、膨大なデータを活用する時代が来た。2020年までにインターネットにつながる端末は全世界で500億台、センサーは2120億個に増える見通し。流れるデータ量はインターネットユーザーで1日あたり1.5ギガバイト、工場ともなれば100万ギガバイトに上るとされる。

 一方、電力業界を巡る環境は激変している。原子力発電の長期停止による火力燃料費の増大が収益を圧迫。急増する再生可能エネルギーとの共存も喫緊の課題だ。さらに昨年4月には小売り全面自由化が始まり、本格的な競争時代に突入した。ウクライナで起きた大規模停電など、サイバー攻撃の脅威にもさらされている。

 現状を打開し、さらなる成長にどう結び付けるか――。カギを握るのはデータだ。発電から送配電、小売りに至るまでの膨大なデータを収集・分析すれば、生産性の向上や新たなビジネスチャンスの創出につながる。

 「デジタル・ユーティリティー」へと変革を遂げるためには、業界の枠や既成概念にとらわれず、長年培ったOT(オペレーションテクノロジー)とITの融合や他のサービスプロバイダーとの協業を進める必要がある。それを支援するのが、半導体最大手のインテルだ。

 

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