関電の森執行役常務(左から2人目)ら理事会員の代表と梶山経産相(中央)

 エネルギーやメーカー、金融など民間企業88社で構成する「水素バリューチェーン推進協議会」が12月7日、発足した。水素の需要拡大や安価な供給体制の構築を目指し、社会実装プロジェクトの提案・調整やファンド創設などに取り組む。電力関係では北海道、東北、中部、北陸、関西、四国、沖縄の各電力会社とJパワー(電源開発)が参画する。今後は協議会に設けるワーキンググループで情報を収集し、2021年2月にも政府へ提言を行う。

 協議会では水素の需要拡大に向け、発電をはじめ産業分野や商用車、船舶、鉄道など輸送部門での水素利用を促進していく。

 供給面のコスト削減については、海外の再生可能エネルギー適地での製造など国際的な連携を進める。国内の再生可能エネ余剰電力を使った水素製造も検討する。この他、分野横断的な取り組みとして、自治体などと連携した特区活用プロジェクト創出や技術開発・実証の支援、広報活動にも力を入れる。

 協議会には、(1)事業化・規制ワーキンググループ(2)渉外ワーキンググループ(3)調査ワーキンググループ――の3つのワーキンググループを設置。社会実装プロジェクト創出や関連団体との連携、各種調査・分析を進める。

 協議会の代表は岩谷産業、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループのトップが共同で務める。これにENEOS、川崎重工業、関電、神戸製鋼所、東芝、三井物産を加えた計9社が理事会員となる。現在は任意団体だが将来は一般社団法人としたい考え。会員企業も順次拡大する。

 12月7日に都内で設立イベントが開催され、共同代表や関電の森望執行役常務など理事会員9社の代表、梶山弘志経済産業相、前田匡史・国際協力銀行(JBIC)総裁が出席。活動方針などを説明した。

電気新聞2020年12月8日