米GE日立のSMR「BWRX―300」イメージ(同社ホームページより)

 米GE日立ニュークリア・エナジーが、カナダへの小型モジュール炉(SMR)の建設で、同国エンジニアリング企業など5社と協業に関する覚書を締結した。GE日立のSMR「BWRX―300」は、カナダ規制当局の事前審査となる「VDR」を受けている段階。並行してEPC(設計・調達・建設)の協業先を確保し、同国をはじめ北米市場での建設に向けて備える。

 覚書は10月中旬までに締結した。締結先は原子力関連設備のEPCの知見を持つほか、燃料供給事業者も含まれている。GE日立はカナダでのSMR導入に向け、オンタリオ州の公営電力会社オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)と協力している。OPGはSMRの導入を計画しており、GE日立は原子力技術の開発などで支援している。

 BWRX―300は出力30万キロワット。9月までにVDRに炉心設計、炉心冷却、確率論的安全分析などの書類を提出。19ある重点項目のうち16項目を出し終えた。

 カナダではGE日立以外に、グローバル・ファースト・パワーも5千キロワット級のSMRを開発している。既に規制当局による審査も始まった。グローバル社はカナダ原子力研究所と協業し、2026年までに実証炉を建設する計画を持つ。

 SMRは数万キロワット規模の小型炉で連結も可能。事故時などには原子炉を自然冷却する機能もある。GE日立は19年末、米原子力規制委員会(NRC)にSMRの技術文書(トピカルリポート)を提出。米国でも許認可手続きを進めている。

電気新聞2020年10月29日