新会社のロゴマークと社名の入ったボードを手にする関係者(左から吉田氏、安井氏、中村氏)

 中部電力ミライズとLooop(東京都台東区、中村創一郎社長)は10月6日、太陽光発電を中心とした新しいエネルギーサービスを提供する新会社「中電 Looop Solar」を10月30日に設立すると発表した。太陽光の第三者所有モデル(自家消費サービス)を「Zero―Roofs(ゼロルーフス)」の名称で、11月から全国の法人向けに展開。コスト低減を通じて、将来的にはFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に頼らない自立型の太陽光設備を設置して、二酸化炭素(CO2)フリーの電気を届けるサービスなど、新たなビジネスモデルを構築する。

 中部電ミライズとLooopは6日に合弁契約を締結した。新会社の資本金は2億円で、出資比率は中部電ミライズ51%、Looop49%。本社は中部電ミライズ内に置く。社長には中部電ミライズの吉田周一・事業戦略本部事業開発第2グループ長が就き、8人の体制で始動する。中部電ミライズが4月の分社化後に子会社を立ち上げるのは初めて。

 両社は2018年に資本業務提携を締結。法人顧客の屋根などに太陽光設備を設置し、顧客の初期負担ゼロでCO2排出ゼロの電気が利用できる自家消費サービスを中部、首都圏、関西のエリアで提供してきた。太陽光の自家消費に対する顧客意識の高まりやニーズが多様化する中、新会社は中部電ミライズの顧客基盤とLooopの調達力、施工・保守体制を融合させることで、より迅速な事業展開と競争力強化を図る。

 新会社は当面、ゼロルーフスの全国展開を加速させ、3年後の単年度黒字化を目指す。設置・運営コストの低減を図りながらFIT切れ電源のリプレースなどの開発も進め、5年後に10万キロワットの新規電源獲得を目指す。併せて、ゼロルーフスと蓄電池によるBCP(事業継続計画)ソリューションなどを展開していく計画だ。

 6日に会見した中部電ミライズの安井稔取締役・執行役員・事業戦略本部長は、新会社について「低炭素化のステップの一つである『創エネ』の重要基盤を担う戦略会社となる」と強調。Looopの中村社長は「サービスを1社に統合することで、価格競争力を含め一層の顧客メリットを提供できる」と述べた。

電気新聞2020年10月7日