館山駅前に設置した太陽光付きの充電所

 出光興産はこのほど、太陽光発電で充電できる電気自動車(EV)のカーシェアリングの実証を千葉県館山市で始めたと発表した。2人乗りの小型EVを4台設置し、事業化に向けて検証する。高い環境性のほか、系統電力が途絶えても充電できる防災性をアピールする狙い。

 出光興産のEVカーシェアリング実証は岐阜県飛騨市・高山市に続いて2例目。太陽光パネルで充電するのは初めて。充電所は電力系統とつながっており、蓄電池も設置しているため、晴天でなくても充電できる。ダイヘンが開発した非接触充電設備を採用し、ワイヤレスで給電する。

 充電所の屋根に、出光興産子会社のソーラーフロンティア製の軽量CIS太陽電池を設置した。パネルの表面材と基板を変更し、従来品と同等の出力を維持しながら、重量を3分の1にした。

 充電所は館山駅前に3カ所置いた。6~8時間でフル充電でき、140キロメートル走れる。時速は約45キロメートル出る。
 タジマモーターコーポレーションが開発する小型EV「ジャイアン」を4台導入し、一般と法人にカーシェアサービスを提供する。会員登録や月額の費用は無料。利用時間に応じて料金を支払う仕組みで、15分ごとに350円かかる。6時間6千円などのパック料金もある。無料駐車場を16カ所に用意したが、出発場所で返却する。

 観光地だが公共交通機関が乏しい地域という理由で、飛騨高山と館山が実証場所に選ばれた。観光地は環境保全の意識が高く、EV実証にも協力的という。出光興産はMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)事業の可能性を検証し、自家用車を保有しない価値観が広まる時代に対応していく。

電気新聞2020年5月27日