
――この半年間取り組んできたことは。
「インテルは前職時代に接点があり、比較的早く大枠をつかめた。最初に気付いたのは、日本企業が変わろうという時に、どんな手を打ったらいいかを一緒に考えられる体制が必要だということ。部門を超えたタスクフォースを産業別につくり、年明けから動き始めた。その一つがエナジーだ」
「エネルギー業界は、データ量が膨大で、いろんな形でDXが起こるはずだと考えている。私の就任前から取り組んできた分野だが、よりこの分野に注力し、これから起きる変化を分析していく」
「私が注目しているのは、電力業界が中心になって設立した『グリッドデータバンク・ラボ』だ。開かれたコミュニティーをつくり、様々な業界の視点を取り入れることで、データの価値はより明確になる」
◇成功のパターン
――前職の経験をどう生かすか。
「既存のビジネスは長続きせず、何か手を打たなければならないとの意識を持った経営層は多い。私にも様々な事業経験があるが、強調したいのは、簡単に成功したわけではないということだ。なかなかアイデアは出ず、既存のビジネスから離れることへの抵抗もある。それを乗り越えた体験が、信頼を得る上では役に立つと思う」
――新ビジネスを創出する際に、何から手をつければいいか。
「一般的なセオリーはある。まず手掛けるべきは、コアバリューやコアリソースに近い領域で、ビジネスモデルを含めたPoC(実証試験)を実施する。現有の人材で、少しチャレンジングなことができる。一方でコアのところから遠い領域の場合は、PoCを行っても事後評価ができない。外部の将来有望な若手を招き、経営者に据えるのも一つの成功パターンだ。今の経営層はその両方を見据えていると思う」