9月分(8月使用分)の燃料費調整で、九州電力の平均燃料価格が電気の規制料金に転嫁できる上限価格を再び超える見通しとなった。超過は1年3カ月ぶりで、原油換算1キロリットル当たりの超過額は700円の見込み。財務省が22日発表した6月分の貿易統計速報に基づく本紙試算で判明した。中東有事が長期化の兆しを見せ、輸入燃料価格が高騰していることが再超過の背景にある。超過分は九州電力の負担になる。関西電力も上限超過状態が続いている。2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、地政学リスクが電力会社の経営を左右する状況が繰り返されている。

 規制料金の燃調は、消費者保護の観点から料金に転嫁できる上限を設定している。具体的には、平均燃料価格が基準燃料価格の1.5倍を超過した分は転嫁ができず、事業者の「持ち出し」になる。

 前回、九州電力の平均燃料価格が上限を超えたのは22年7月分(6月使用分)。ウクライナ侵攻後の世界的なエネルギー需給環境の不安定化を受けて燃料価格が急上昇した。当時は中部、関西、九州を除く7社が規制料金の値上げを申請し、基準燃料価格を大幅に引き上げた。

 九州の上限超過は、輸入燃料価格が落ち着いた25年6月分(5月使用分)まで約3年間続いた。超過分のコストは経営努力で吸収するなどの対応に追われた。

 九州と同様に基準燃料価格を据え置いた関西は、22年3月(2月使用分)から上限超過状態が解消していない。本紙集計では今年9月分(8月使用分)の超過額は9400円で、8月分(7月使用分)から2千円拡大するとみられる。電力各社の9月分の平均燃料価格と上限価格を見ると、価格差が最も小さいのは中部の1万1700円、次いで北海道の5万700円。最大は東北の7万600円となっている。

 九州の基準燃料価格は2万7400円で、上限価格は基準燃料価格の1.5倍の4万1100円だ。8月分の平均燃料価格は3万9800円と上限価格に1300円まで迫っていた。9月分の平均燃料価格は4万1800円となる見込みで、上限を再び突破する。

 上限突破について、九州電力の関係者は「中東情勢が悪化して以降、燃料価格は高い水準にあり、先行きが不透明だ。引き続き価格動向を注視していく必要がある」と指摘する。

 米国とイランの対立は沈静化と再燃を繰り返している。北東アジア向けLNGスポット価格指標JKMの終値がここ数日、100万BTU(英国熱量単位)当たり20ドルを上回るなど燃料価格は依然安定しない。燃料調達上の懸念は続きそうだ。

電気新聞2026年7月23日