FIT(固定価格買取制度)の「認定失効制度」や盛土規制法などが陸上風力発電の開発を遅らせかねないとして、風力業界関係者が懸念の声を上げている。中東有事で化石燃料に依存するリスクが再認識される中、エネルギー安全保障にも寄与する再生可能エネルギーの導入に支障をきたすとの訴えだ。
FITの認定失効制度は、政府が一定期間以上にわたり運転を開始していない設備のFIT認定を取り消す措置。系統接続工事の着工申し込みの有無など運開に向けた進捗を確認し、失効までの期間を設定する。風力の場合は運転開始までの期限は原則4年間で、環境影響評価法によるアセスメントの対象設備は4年が追加されて計8年となる。
こうした中、風力業界から「FIT認定の後、新たに出てきた規制の対応に追われ、運転開始期限に間に合わない案件が出てきそうだ」との声が上がっている。
業界が懸念を示す規制が、2023年5月に施行された盛土規制法。静岡県熱海市の事故を契機にできた新法で、盛り土が人家などへの危害を及ぼす可能性のある場所を「規制区域」とする条項を設けた。同区域内で盛り土をする場合、事業者は工事内容の届け出や安全性を保つための設計担保、都道府県からの工事検査を受けることなどが必要になる。
盛土規制法について、ある風力事業者は「林地開発許可に必要な対応と手続きが重複している部分があるものの、結局は二重の許認可を得る必要があり時間がかかる」とも話す。6月の衆院経済産業委員会では中道改革連合の泉健太、河野義博の2議員が赤澤亮正経済産業相に事業者の窮状を訴え、陸上風力の拡大に向けた支援を政府に求めていた。
経済産業省・資源エネルギー庁によると、陸上風力ではFIT認定済みの未稼働案件が940万キロワットに上る。エネ庁の再生可能エネルギー主力電源化小委員会でも、長山浩章委員(京都大学教授)が「未稼働容量が多いことの要因を分析してほしい」と指摘している。
第7次エネルギー基本計画では、30年の陸上風力の導入目標を1790万キロワットとしており、25年12月末の実績は670万キロワットとなっている。
電気新聞2026年6月29日





