経済産業省・資源エネルギー庁は5日の有識者会合で、長期脱炭素電源オークションの落札電源が得る利益の一部を、非落札電源や休廃止電源の費用に充てることを条件付きで容認する方針を示した。稼働中の電源の利益で採算の取れない電源の費用が賄われている発電事業の実態に配慮。事業者が新規投資への原資を確保しやすくするのが狙い。一方、市場管理者への還付が求められている落札電源の利益が意図的に減らされないよう、費用回収の条件も整理した。

 同オークションは容量市場の一種で、落札電源に対して固定費相当の収入を原則20年間保証する仕組み。その代わりに、卸市場や相対取引などで得た収益の約9割を市場管理者に還付するよう求め、小売電気事業者が支払う容量拠出金を抑えている。

 ただ、実際の発電事業では、稼働中の競争力のある電源の利益を使って、競争力に劣る電源や休廃止中の電源の費用を回収している。落札電源を休廃止電源などとセットにして相対契約を結んで卸売りした場合、9割還付ルールを厳格に適用すると、休廃止電源などの費用を賄いきれなくなるおそれがある。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電力安定供給ワーキンググループで事務局は、落札電源の利益を休廃止電源などの費用に充てる行為について「さらなる新規投資に振り向ける原資を確保しやすくなるという発電事業の実態に沿っており、制度の趣旨にも整合的」と指摘。一定のルール下で容認する方針を示した。

 一方で、落札電源の利益を不当に引き下げて休廃止電源などの費用を全額賄い、意図的に還付金額をゼロにするような「還付逃れ」は認めない方針だ。同オークションに基づく固定費支援は2027年度から提供され、他市場収益の還付も始まる。そこで今回、還付逃れを防止する具体的なルールや問題となる行為を提示した。

 適正な費用回収の条件として、落札電源単体ではなく、他の稼働中の電源の利益も含めて休廃止電源などの費用を回収することを求めた。具体的には、落札電源で回収できる費用が、稼働中電源全体の利益割合に収まるよう限度額を設定する。ルールが厳格に守られるかどうかは電力・ガス取引監視等委員会が監視し、問題のある行為が見つかった場合は相対契約見直しや追加の還付などを求める。

電気新聞2026年6月8日