電力先物の取引高が急拡大を続けている。2025年の累計でみると欧州エネルギー取引所(EEX)が前年比2倍の約1490億キロワット時、東京商品取引所(TOCOM)が同5.1倍の約46億キロワット時といずれも飛躍的な伸び。電力価格の変動リスクに対応するニーズが拡大する中、参加者の多様化や新商品の上場、市場の信用力向上などが寄与した。電力先物市場全体では25年のスポット約定量の50%を超える規模まで成長している。(編集委員・新田剛大)

 取引参加者数はEEXが25年に30社増えて計119社、TOCOMが同じく12社増えて194社となった。EEXは国内・海外の参加者がほぼ半々で、電気事業者以外のトレーダーも活発に取引して市場に流動性をもたらしている。月間取引高は、時期による変動はあるが、年間を通じて高水準を保った。

 ◇信用力で

 TOCOMの市場には、24年秋に三菱UFJ銀行がクリアリングブローカー(受託清算参加者)として参入。その高い信用力を背景として25年上期の取引高が大きく伸びた。LNG価格が低迷しヘッジニーズが後退した秋以降はやや取引高が落ち込んだが、25年12月にJERAグローバルマーケッツ(GM)が市場参加者資格を取得したことも今後の成長へ期待感を高める。

 両取引所とも、25年のトピックに挙げられるのが新商品の上場だ。TOCOMは5月、EEXは10月に年度商品の取引を開始。現物の相対契約で一般的な4月~翌年3月を対象期間に1本の価格で取引可能となった。参加者の利便性を高めるだけでなく、取引1件当たりの約定量が膨らみ、市場規模を示す取組高(建玉)も底上げしている。

 EEXでは25年12月8日に中部エリア商品も上場し、初月ながら取引高の6%を占める好調な滑り出しだった。26年度の電力価格を固定するヘッジシーズンが本格到来し、各エリアで年度商品の約定が増加。12月の月間取引高は174億4400万キロワット時で過去最高を更新した。

 中部エリア商品はTOCOMも4月13日の上場を予定。併せて欧州市場が動く午後4時以降を含む形で取引時間を見直す。夏頃には日本卸電力取引所(JEPX)と連携し、先物と現物を一貫調達できる仕組み「JJ―Link」第2段階の実現も目指す。

 ◇先高傾向

 26年度以降にもう一つ注目されるのが、将来の先物価格曲線(フォワードカーブ)だ。EEXでは25年12月に28~30年度の商品が初めて約定した。1月13日時点の清算価格(東京エリア・ベースロード)は26年度の11円88銭から28年度に12円48銭と先高傾向が顕著。排出量取引の本格化に伴う価格上昇を織り込んだとも考えられる。こうした中長期的な価格指標としての側面も期待される。

電気新聞2025年1月16日