特重施設の経過措置期間延長などを提案した意見交換会

 原子力事業者と原子力エネルギー協議会(ATENA)は9日、特定重大事故等対処施設(特重施設)の経過措置期間に関し、3年の延長を原子力規制委員会に提案した。法改正など近年の建設業界の労働環境変化が理由。運転上の制限(LCO)逸脱に関する条件見直し、特重施設を重大事故時に活用することも提案した。規制側はこれらの提案内容を規制委定例会合に諮る方針で、今月中にも今後の対応について議論する予定。

 同日に開催した規制委の主要原子力施設設置者の原子力部門責任者(CNO)との意見交換会で提案した。特重施設は、本体施設の設計・工事計画認可から5年の経過措置期間内に設置することが求められている。

 会合では、東北電力の青木宏昭常務執行役員・原子力本部長が理由を説明した。2024年の労働基準法改正に伴う時間外労働の上限規定適用や人手不足で工期長期化の懸念が生じていると指摘。こうした他律的な要因により「我々の努力ではいかんともしがたい状況」と理解を求めた。

 3年の根拠は、特重施設の工事実績に日本建設業連合会の適正工期確保宣言に基づく条件で工事した場合の影響を評価したと説明。最大2年9カ月の工期延長が発生することを踏まえたとした。

 規制側からは、建設業の現状を考慮する余地はあるとする意見はあったが、「伸ばせるかは安全上の観点から容認できるかによる」(杉山智之委員)との認識が示された。山中伸介委員長は「簡単な議論ではない。相当委員会で議論しなければならない」と話した。

 工事の発生タイミングの具体化など説明性の向上を求める声、一律なのかプラントごとなのかを議論していく必要があるとする意見なども挙がった。

 LCOでは、衛星電話、可搬型のモニタリングポストと気象観測装置、使用済み燃料貯蔵プール監視カメラに関する記載見直しを提案。これらは予備機や他手段で要求機能を確保可能と説明した。規制側からは「妥当な提案」(杉山委員)と前向きな反応があった。

 特重施設の活用に関しては、重大事故時に設置変更許可では使用を考慮していない特重施設を積極活用することで、現場作業の時間的余裕確保や作業負荷削減を図ることが可能と説明。その前段として、炉心損傷防止対策などに必要な作業の再整理や有効性評価への反映を行うとした。

 規制側からは「リスクが下がるならば、提案を議論することに異論はない」(長崎晋也委員)とする声があった。一方、整備済みの施設や要員への影響を懸念する意見も出た。

 LCOと特重施設の活用について、規制側は事業者から設置変更許可申請があれば個別プラントごとに議論する考えも示した。

電気新聞2025年10月10日