需要家の電気使用量データを計測・収集するスマートメーターの「次世代化」が本格化している。第1世代のメーターは10年間の検定有効期間が順次満了するため、2025年度から取り換えが始まった。次世代スマートメーターでは需要家の利便性向上やレジリエンス強化、脱炭素化など新たな時代のニーズに対応。全国の一般送配電事業者が連携して仕様を統一し、コストの低減や作業性の向上も図っている。
第1世代のスマートメーターは14年から本格導入が始まった。電力データを30分単位で遠隔取得でき、検針業務を効率化。加えて同時同量制度やインバランス精算など、電気事業制度を支える基盤としての役割も担っている。
一方、過去10年の間にレジリエンス強化や系統運用の高度化、分散型エネルギー源(DER)の活用といった新たなニーズも顕在化してきた。このため、経済産業省・資源エネルギー庁は「次世代スマートメーター制度検討会」を立ち上げて標準的な機能を議論し、22年5月に報告書をまとめている。低圧は25年度以降、高圧は26年度以降に順次導入が進む見通しだ。
◇DER活用
第1世代との違いの一つは電力量データの計測粒度。30分値だけでなく5分値を取得できる。こうしたデータをメーターの動作状況を確認する「ポーリング」機能と組み合わせることで、きめ細かな停電・復旧の検知が可能になる。また、再生可能エネルギーなどDERの連系が進む中、配電運用の高度化も期待できる。
家庭内の機器などと接続するBルートは無線通信規格「Wi―SUN(ワイサン)」に加え、Wi―Fiも対応可能とするなど利便性を高めた。さらに特例計量器やガス・水道メーターなどと双方向で通信可能な「IoTルート」も搭載。需給調整市場でのDER活用や、新サービス創出の基盤になる。
サイバーセキュリティー対策の観点でも、電力以外の外部事業者とのデータ連携を想定し、機器の接続や管理などに関わる指針が整備されている。
◇仕様統一も
次世代スマートメーターの開発では一般送配電事業者10社が連携し仕様統一を図ったことも特徴。第1世代は「一体型」「ユニット型」という2種類の構造が混在していたが、通信機能の拡充や安全性・作業性向上などに寄与する共通仕様を策定した。全国共通仕様となることで効率的な生産が可能になり、特定エリアで災害があった場合などにも機器・部品のサプライチェーンを相互代替できる。
一般送配電事業者としては高粒度で得られる電力データを活用した設備形成最適化や、再エネの導入拡大にもつなげたい考え。送配電網協議会は「国の方針に基づいて効率的に取り組みを進め、社会コストを抑えつつ将来的な便益の実現を図っていきたい」と話す。
◆メモ/次世代スマートメーターの主な標準機能
<レジリエンス強化>
・ポーリング機能と計測値の活用による停電・復旧検知
・遠隔アンペア制御機能(需給逼迫時に需要を面的制御可)
<再エネ大量導入・脱炭素化、系統全体の需給安定化>
・5分値の有効・無効電力量、電圧といった高粒度データ取得
・Bルートの利便性・柔軟性向上(Wi-Fi2.4ギガヘルツに対応可)
・特例計量器データの活用(IoTルートによる調整力活用)
<需要家利益の向上>
・ガス・水道データの送受信・開閉栓指令送信(IoTルートによる共同検針)
※現行メーターも計測値を使わない通信(疎通)確認は可能。遠隔アンペア制御に対応可能なエリアもある
電気新聞2026年4月20日





