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 ○まとめ

 全体を整理すれば、電力供給の安定とは、貯められない性質の電気に対して消費者が数量柔軟性を持つことで、電力システムのバランシングをより不安定にしている。この結果、(4)電気のフレキシビリティーや調整力と(2)燃料調達の数量柔軟性が必要となり、それらが(3)電源容量の確保と(1)燃料の量の確保に追加され、発電・小売事業を複雑にしていると言える。

 つまり電気の供給力は、(1)(2)(3)(4)がそれぞれ関連しながら総合的な権利義務関係をもたらし、契約面とフィジカル面でそれぞれを確保することによって成り立っている。昨今の議論にあるような、エネルギーセキュリティーや小売りの供給義務確保は、シンプルに関連性を求めることはできず、(1)~(4)までのコスト効率性と事業成立性をどのように全体最適化するかの視点が必要と考えられる。

 もしも日本に燃料インフラシェアと燃料取引市場があれば、発電各社における調整能力を広域でシェアすることで、各社の量の調整ニーズを下げられる。もちろん、カーゴによる燃料取引では、カーゴ船の船陸整合性や基地のスペックなど、それぞれの対応の共通化が必要であり容易ではない。国交省や海上保安庁などの現行規制も複雑で統一化には限界があるが、国全体では無理だとしても、地方でできるところからインフラシェアを行い、情報を共有していくことができる。それがローカルなエネルギーセキュリティーに資すると考えてよいだろう。

 また根本的な課題として、電気の消費者の数量柔軟性をどのようなインセンティブでどのように変えていくか、どのように需要の価格弾力性を上げていくか、早急に検討することが重要である。

電気新聞2025年10月2日

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