関西電力、東芝デジタルソリューションズ(川崎市、錦織弘信社長)、アルプスアルパインは26日、架空地線の点検に用いるドローンが自律して飛行し、点検対象を自動で認識して追尾する新技術を確立したと発表した。関電の架空地線点検業務で試験的に導入する。電力会社がドローンの自動追尾点検技術を、実際の設備点検に導入するのは初めて。

 従来、落雷などによる架空地線の損傷を検出するには、カメラを搭載した自走式の点検装置を線上に走らせ、撮影画像を人の目で確認していた。山間部の巡視路を作業員が長時間歩いて鉄塔に向かい、昇降塔しているため作業時間が長くかかるなどの課題があった。

 新技術では鉄塔近くからドローンを離陸させると、衛星利用測位システム(GPS)の位置情報などを判断してドローンが自動で鉄塔の位置まで飛行する。そこから架空地線を検出し自動で追尾。追尾して飛行する時間は3~5分ほどで、1回の点検時間は10分程度を想定する。点検中は搭載しているカメラで動画を撮影し、終了すると離陸地点まで戻ってくるという。

 ドローンのカメラには4Kの高画質カメラを採用。新技術には架空地線がピントの合った状態で映るように位置を保つ機能もある。

 ドローンの活用で作業員が山間部に進入したり、昇塔する必要がなくなることなどから安全性の向上が図られる。移動時間や昇降塔に必要な時間、撮影時間も短縮されることから、作業時間は約400メートルの点検の場合で従来の約6時間から約3時間に半減。人員も8人から4人に削減でき、作業の効率化が期待できる。撮影した動画は従来と同様に人の目で確認する。

 関電は3月上旬、京都府内の架空地線点検業務にドローンを使用する予定。総延長約8キロメートルの架空地線の点検を2日間かけて行う。将来的には人工知能(AI)を使った画像分析技術も組み合わせ、自動で損傷などを検出する技術を開発することも検討している。

電気新聞2019年2月27日